戦略プロフェッショナル

今回は、少し古いが、改革プロセスのケーススタディとしてこの本を紹介する。 

 

・説明

広川洋一・・・第一製鉄から出向で新日本メディカルへ

新日本メディカル・・・第一製鉄の子会社。医療関係の製品を販売。

ジュピター・・・米国のプロテック社と提携しており、そこの製品。病院で検査する装置で、従来とは自動でできることが強み。これまでは検査薬を代理店経由で販売。これに代わる製品としてジュピター装置+検査薬を販売することを促進。利益率高いが、装置が高く苦戦。

 

・事業戦略を成功させるには、現在業界で当たり前になっている競争のルールに穴をあけなければならない。

・つまり、自分で新しい競争のルールを作り出していく人である。

・ハイテクベンチャーがつまづくのは、技術開発で負けるよりは、生産技術や営業体制で負ける方が圧倒的に多い。

・市場が成長するに従って競争のポイントが移っていくことに気づかない。

・「優れた戦略」は「優れたリーダーシップ」と結びついてこそ、初めて大きな効果を生む。

・広川が出向して初めにやったのは、次の順序で状況把握。

業績→市場の規模・成長率→競合→当社の強み・弱み

・新製品と既存製品の切替の時によく起こる典型的現象が出ている。(カニバリゼーション=共食い)

・広川は初めから社員の目を社外の「競争」に向けさせ、彼ら自身がいい仕事をしているのかどうかを自ら考え、自ら判定させるというやり方を取りたかった。

・ドイツ化学に63%のシェアを抑えられている。しかし、プロダクトライフサイクルの成長期のど真ん中にある。これを「もう難しい」と思うか、「まだまだこれからだ」と思うか。これが戦略的思考の分かれ道。

ベンチャーキャピタルの投資判断

(1)会社の経営陣。社長は人材として一流か。

(2)事業家成長分野か。

(3)その市場の中でユニークさがあるか。

プロダクトライフサイクル

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プロダクトライフサイクル

ベンチャー企業に、第2のヒット商品が出にくいと言われる現象は、この再投資サイクルをうまく回すことがかなりの難題。

・各経営者とは、これをうまくやった人達、エクセレントカンパニーとは自己増殖敵にこのサイクルを活発に回す組織風土を作り上げた企業。

・再投資サイクルを活発に回すためにも「絞り」と「集中」が不可欠。

・広川が4か月間辿った戦略検討のプロセス。

(1)仕事の優先度

(2)全体市場の俯瞰

(3)戦略製品の抽出

(4)製品の差別化能力の確認

(5)価格と利益構造のチェック

(6)戦略ロジックの策定

(7)組織の強み弱み

(8)市場ターゲットの絞り

(9)戦略展開の時間軸

(10)価値観の「混乱化」

(11)新戦略と実行プログラム

 

・成功する戦略は、「戦いの場」を絞ること。そこに社内のエネルギーを「集中」させていく。そして、その「集中」を実行するために、組織に対し「無理を強いる」「不安を感じさせる」という面を必ず持っている。

・目標先行のプランニング

・組織の中に「ゆらぎ」が起こり、そのゆらぎが内部で増幅され、一定のクリティカルポイントを越えれば、そこで「自己超越」現象が起きて、「組織の進化」になる。そうしたゆらぎを起こす要因は、いくつかあるが、「リーダーシップ」とか「高い挑戦的な目標設定は自己超越の一つの手段である」ということになる。

・画期的な成果を収めるマーケティング戦略は、しばしば、営業マンのそれまでの常識や習性に逆らう内容を持っている。

・新しい商品に対するマーケティング戦略は、個々の営業マンが思いつかないことを営業のトップレベルで開発しなければならない。

・「絞り」とは「捨てる」こと。そのデシジョンを先延ばしにするトップは、いずれやりきれなくなることに無駄な投資を続けていることになる。

・セグメンテーションは「細分化」と訳されることが多いが、「絞り」「捨てる」ための道具としてこれほど有効なものはない。

・セグメンテーション・・・市場の中を同じ様な購買性向を持った顧客グループに分けること。

・広川の新しい次の壁

①一本調子のトップダウン戦略ばかりでは、組織全体の自律的成長がすたれてしまう。

②日本で経営者として成功するためには、戦略性とリーダーシップだけではまだ足りない。トップとしての人間性、包容力、あるいは何か「男の愛敬」みたいなものが必要。